2018年 10月 31日
remember me。 |
色んなシーンを収めてるボク中のセンセーショナルな出来事、その記憶のアルバム。
それを時々、そっと開いて懐かしむ事がある。
前にも言ったかもしれないという、デジャブを感じながらのポスト。
もう20年は前になろうかという、ある日の出来事。
ボクが始めて勤めた花屋のボスが、お客に向かって咆哮していた。
誇張表現ではなく、文字通り「吠えて」いた。
「この世に悪い意味を持って生える花は、一本たりとて無い」
と。
経緯は聞かなかったし、でも、まぁ。
大凡は想像付いたけど(笑)
強く感動した事を、覚えている。
一昨日食べた昼御飯の中身は何だったかな?
と、白目をひん剥いて思い出そうとしても思い出せぬというのに。
こういう事は、いついつまでも忘れない。
花の価値観の一つを、貴方は教えてくれたのです。
remember me?
「菊」という花。
日本においては数ある花の中でも、最も幅の広い用途に用いられる花の一つであると思う。
何故なのか?と自分なりに考えてみた。
結論は一つ。
美しいからだ。
これは何の花ですか?
菊です。
菊ですか。お祝いなのに、菊ですか。
お祝いだからこそ、「菊」なんです。
こんなやりとりをした花屋さん、結構いらっしゃるのかと思う。
何故、菊を用いてはダメなのか。
何故、菊を用いないとダメなのか。
こんなくだらない、冷水を氷ごと引っかけあう様なやりとりは、一体いつから始まったんだろう。
忌花。
忌まわしい花という意味。
そんな風に私は生えてないよ、という声が聞こえきそうで。
特別なお祝い花としての、私を思い出してくれと。
remember me?
本当は良いことであったのだと後から知ったりすると、身震いする程感動したり、忘れ難い思い出に変わったりする。
花にお洒落な意味を乗せて贈るなんて。
そんなロマンスとは程遠いボクではあるけど(笑)
花言葉。
それで感動が生まれるなら、それでもいいやって思う。
一方で、花言葉を酷く嫌悪する事もある。
何故なら、「それ」とは逆の意味の花があるからだ。
口に出すのも憚れるような意味を、理不尽に押し付けられてる花がある。
そんな普通では考えられないような意味のこじつけであるに関わらず…
本当に信じられないのだけど、「それ」を信じきってるような、考えられないような人が稀に存在する(笑)
感謝を込めて、優しい色味のあの花を入れた。いつかの母の日。
一目見たその人は、それを外せと言った。
縁起悪いから、と。
この花たちが、あなたに引き取られていくのがとても忍びなかったのを覚えています。
remember me?
「菊」という、音の響きが好きだ。
研ぎ澄まされた、金切り音。
厚みのある、重厚な金打音。
金属の奏でる音響を連想させる、そんな「か行」は平仮名の中で一番好きだ。
殊更、菊という名前は、音も見た目も美しい気がする。
日本語はとても美しい。
文豪と呼ばれる人たちのそれは、冷たくも美しい。
抜き身の、白金の刃を連想させる。
言葉の刃で、心に切り込んでくる。
そんな日本語が、大好きだ。
6才の時。
小学校に上がる前の晩、金持ち坊ちゃんだったボクは、いつものように父を「パパ」と呼んだ。
父は言った。
「もう小学生になるんだから、お父さんと呼びなさい」
と。
一番最初にきちんと教わった日本語は、父という言葉でした。
お父さん。
remember me?
悲しいこと、悔しいこと。
そんな日も沢山あった。
嬉しいこと、楽しいこと。
同じくらい沢山あった。
remember me?
remember you.
by radice-di-loto
| 2018-10-31 18:03
| diary